街の記憶

横濱外国人居留地には地番に刻まれた記憶が残されている
☛ シリーズ1:「もうひとつの近代遺構―横濱外国人居留地・地番の研究」
◆ 長崎大浦居留地に遅れること1年、築港が漸く完成した横濱外国人居留地に地番が付されることになった。その規則性はどのようなものだったのだろうか。
☛ シリーズ2:「山下町188番―差し替えられた地番の謎
◆ ジェラール商会があった現在の山下町188番。しかし、ジェラールが最初に食肉販売業の広告を出した時の事務所の番地はバンド169番だった。明治3年バンドの8つの地番が差し替えられた謎を追う。
☛ シリーズ3:「山手町77番―消えた番地のクロニクル
◆ ジェラールの煉瓦・瓦工場のあったブラフ77番は現在では元町に編入され、山手町の地番としては欠番となっている。この山手の谷あいは、まさに外国人居留地と日本人街の「接点」であった。
☛ シリーズ4:「山手町169番―『小さなヴィクトリア朝』の殺人事件」
◆ 外国人墓地に眠る一人のイギリス人ウォルター・カリュー。明治29年10月の彼の死に伴い領事裁判にかけられた15歳年下の若妻イーデスの運命は。
☛ シリーズ5: 「山下町172番―イギリス領事裁判・18歳の日本人法廷証人
◆ カリュー事件で法廷証人に立った「丸善薬種店」の店員、早矢仕七郎が「日本の中の異国の裁判」で見たものは何だったろうか。
☛ シリーズ6:「成佛寺―イギリス諜報員の華麗なるラブ・ロマンス
◆ カリュー事件で容疑者の妻イーデスを弁護したラウダーは、幕末・維新の諜報員だったのか。ともに通訳生として来日した、後のイギリス駐日公使アーネスト・サトウとラウダーとの人生の岐路を辿る。
☛ シリーズ7:「山手町115番―イギリス海軍病院・ハマの名物医師、大震災に斃る」
◆ カリューの死を看取ったのは、居留地の名士、当時55歳のホィラー医師であった。彼は何故、若妻イーデスによるヒ素投薬に気付かなかったのだろうか。
☛ シリーズ8:「山手町184番―『氷』を巡る熱き闘い
◆ ジェラールが山手の湧水を地下貯水槽に貯めて海外船に販売していた元町には、実は「氷」を扱う二つの会社があった。貴重な天然氷から機械氷へという近代化の中で、この二社が演じた熱き闘いとは。
☛ シリーズ9:「ヒマラヤ杉のある風景―夢やぶれた政治家の忘れ形見
◆ 山手・元町の異国情緒を醸し出しているヒマラヤ杉を最初に播種したのは、イギリス人ジャーナリストのブルックであった。来濱以前の彼は混乱期のオーストラリアでの急進的な自由主義者の政治家としての貌を持っていた。
A.ジェラール研究の過程である事実に気付いた。「ジェラール初期論文集」にも掲げた横濱外国人居留地の地番を巡る謎である。開港とともに幕府は居留地に地番を付すことにした。ジェラールの事務所があったのは居留地(バンド)169番である。ところが、ジェラール瓦に記されたのは「百八十八バン」。事務所は移転したのか。実は同じ場所にあったのだ。この地番変更の謎から、「もうひとつの近代遺構」ともいえる外国人居留地(バンドさらにはブラフ)の地番を調べ始めた。この150年間、居留地で起きた事件の場所は地番をもとに特定できる。こうして横濱に刻まれた歴史の記憶を辿る旅に出よう。
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