デュッセルドルフより南西に３０キロ、ノイス駅よりバスで２０分、バス停より歩いて更に１０分の畑のど真ん中に安藤忠雄設計のランゲン美術館はある。なぜかくも辺鄙かというと、ここは元ＮＡＴＯ爆弾演習施設。つまり本来人気のないところに建てた美術館。安藤忠雄特有の打ちっぱなしの裸のコンクリートの美術館の主展示室は何故か半ば地中に埋まっていて、画を見る目を一休みさせて窓から外を見ると、初春の驟雨。モグラの目線で見る雨の風景もまた、安藤忠雄流なるや。

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ザルツブルクからバスに乗って一時間半、オーストリアのザルツカンマーグートはサウンド・オブ・ミュージックの舞台になった場所。モーツァルトにも縁深きヴォルフガング湖畔の街ザンクト・ギルゲンは、美しい風景が人のこころを癒してくれる。不思議なことだが、伸びやかな人のこころは美しい風景に溶け込むのであろう。まさにそんな人と自然の一体化した風景が、そこにはあった。